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SmallSat 2026レポート

塗装からフィルムへ ― 宇宙機の熱制御に新たな選択肢

 

SmallSat 2026で発表したWhite TORMEDと、TORMED®が目指すこれからの宇宙機設計

 

2026年8月、米国ソルトレイクシティで開催されたSmallSat 2026において、I.S.TはSide Meetingを開催しました。
今回、私たちが宇宙業界の皆さまに投げかけたのは、ひとつの問いです。

この問いから生まれた新たなアプローチが、White TORMEDです。
当日のSide Meetingには多くの方にご参加いただき、宇宙機の熱制御だけでなく、材料、表面機能、構造との一体化、さらに将来の機能統合に至るまで、さまざまな技術的議論が交わされました。
本記事では、SmallSat 2026でご紹介した内容を改めて振り返ります。
当日参加できなかった方にも、講演動画および発表資料をご覧いただけます。

■ 塗装からフィルムへ

 

宇宙機における熱制御は、機体設計を支える重要な要素のひとつです。
従来の熱制御用コーティングは、現在も多くの宇宙機で重要な役割を果たしており、特に球面やドーム形状など複雑な形状への適用に適しています。
一方でI.S.Tでは、ポリイミドフィルム技術を基盤として、別の選択肢を検討してきました。
それが、White TORMEDによるフィルムベースの熱制御アプローチです。
White TORMEDは、白色ポリイミドフィルムとして製造することで、宇宙機表面への熱制御機能の付与を目指して開発されています。
フィルムとしてあらかじめ製造することで、適用可能な表面においては、次のような可能性が考えられます。

 

・均一なフィルム厚み
施工時に形成する塗膜とは異なり、フィルム製造時に厚みを管理することができます。

・再現性の高い熱特性
一定のフィルム構造により、表面ごとの特性ばらつきを抑えることを目指しています。

・軽量化への貢献
薄膜フィルムという形態は、質量制約の厳しい宇宙機において重要な選択肢となり得ます。

・施工プロセスの簡素化
複数回の塗布、乾燥、硬化工程を必要とする従来プロセスに対し、フィルムを適用するという考え方によって、製造・施工工程の簡素化や時間短縮につながる可能性があります。

 

 

 

私たちは、White TORMEDが既存の熱制御コーティングをすべて置き換えるものだとは考えていません。
むしろ、フィルムを適用できる宇宙機表面において、設計者に新たな選択肢を提供することを目指しています。

■ White TORMEDの背景にあるTORMED®

 

White TORMEDは、単独で生まれた新素材ではありません。
その基盤となっているのが、I.S.Tが開発してきた透明ポリイミドフィルム TORMED® です。
TORMED®は、柔軟性、寸法安定性、耐環境性、さまざまな機能層との組み合わせ可能性を持つポリイミドフィルムとして開発されてきました。
宇宙分野においても、TORMED®は研究段階から実環境での評価へと進んでいます。
TORMED®を用いたサンプルは、国際宇宙ステーション(ISS)船外で約1年間の宇宙環境曝露を経験し、地上へ帰還しました。
さらに、シリコン太陽電池モジュール向けの保護フィルムとして、商用衛星用途への展開も進んでいます。
こうした経験を重ねる中で、私たちは次の問いを考えるようになりました。

■ 熱制御の先へ

 

White TORMEDによる熱制御は、その答えのひとつです。
しかし、TORMED®という材料プラットフォームが持つ可能性は、それだけではありません。
SmallSat 2026では、熱制御に加えて、将来の機能統合の方向性についてもご紹介しました。

 

• 金属層の形成
• 回路パターン形成
• アンテナ機能との統合コンセプト
• 複合材との一体化
• TORMED®ベースのテープ形態

 

 

これらはすべて、すでに完成した商用製品を意味するものではありません。
現在検討中、あるいは将来の開発方向を含むコンセプトです。
しかし、そこにはひとつの共通した考え方があります。

宇宙機の限られた表面や構造を、単なる「外装」ではなく、より多くの機能を担う設計要素として活用する。
それが、I.S.TがTORMED®を通じて目指している方向です。

■ 評価フェーズへ

 

White TORMEDは現在、評価に向けた段階へ進んでいます。
A4サイズのWhite TORMEDシートは、評価用途向けに提供可能です。
宇宙機メーカー、サブシステムメーカー、インテグレーターをはじめとする皆さまとともに、どのような用途や設計課題に適用できるかを検討していきたいと考えています。
また、次のステップとして、300 mm幅ロールのパイロット生産を2026年11月に開始する予定です。
I.S.Tでは、市場からの評価や実際のニーズを確認しながら、段階的に開発・供給体制を拡大していく方針です。

 

 

Scale with demand. Invest with evidence.

 

 

需要と評価に基づき、次のステップへ進む。
それが私たちの基本的な考え方です。

■ SmallSat 2026 Side Meetingに参加できなかった皆さまへ

 

SmallSat 2026で使用した発表資料と講演動画を公開しています。
TORMED®の製品ページから、

 

• 発表資料のダウンロード
• TORMED®に関する詳細情報の確認

 

TORMED® / SmallSat 2026 Presentation
https://ist-caretp.com/materials/tormed/

 

今回ご紹介した内容が、皆さまの宇宙機設計における新しいアイデアのきっかけになれば幸いです。
そして、もし現在取り組まれている設計課題とTORMED®の可能性が重なるのであれば、ぜひ私たちと技術的な対話を始めてください。

 

 

 

We make the material.
You know your spacecraft.
What could TORMED® become on your spacecraft?
Let’s find out together.

 

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